DH法について


1976年にスタンフォード大学の研究員ディフィー、ヘルマンらによって初めて秘匿するはずの鍵を公開するという大胆な暗号法が提案されました。彼らはそのアイデアを実現することはできませんでしたたが、多くの暗号研究者の意欲をそそりました。
ディフィーとヘルマンが発表当時に提案した公開鍵暗号の方法は彼らの頭文字をとって「DH法」と呼ばれています。DH法は素数を巧みに利用した鍵の交換法で、以下のような方法で行います。
まずAさんとBさんが秘密鍵3、4をそれぞれ持ち、公開鍵を6とします。AさんとBさんはこの数を自分の鍵数だけ冪乗した数を決めておいた素数で割り余りを求めます。

Aさんの秘密鍵3  Bさんの秘密鍵4
公開鍵6   素数11
Aさん 63 mod 11 = 7
Bさん 64 mod 11 = 9

ここで求められた余りをお互いに交換し、今度は先ほど行の計算の公開鍵6をここで交換した余りの値に変え再度同じ計算を行います。

Aさん 93 mod 11 = 3
Bさん 74 mod 11 = 3

ここで得られた余りの3を共通鍵として暗号通信に利用することができます。ここの例では分かりやすく数値を小さくしてありますが、この値を大きくした場合には、二人の交換した値からすぐにもとの値を求めることはできません。この問題は「離散対数問題」と言われています。
最初に公開鍵暗号を実現したのは、先のヘルマンとマークルによって示されました。彼らは「ナップサック問題」をもとに公開鍵暗号方式「ナップサック暗号方式」を発表します。ところがこの暗号方式は1982年にイスラエルのシャミアが解読法を見つけ出してしまいました。ナップサック問題自体は大変難しいものと予想されていますが、暗号方式になるように変形したため問題が易しくなってしまていたのです。



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